■時代の流れと欲求の変化
■「人」という字は二つの部位が寄り添って形成されているように、人間
とは単独で生きていくには不都合が多く、第三者と相互に依存しながら
生きていくことを望んでいます。
確かに他人と干渉し合うことによって、さまざまなトラブルや障害も
発生するので、その環境から抜けだし単独で生きている人も存在します
が、とてもマイノリティでとても勇気のある行動だと捉えています。
しかし通常、人間には「所属の欲求」があるため、何らかの団体に
所属して生きていきたいという欲求があります。
そうであるからこそ、他人との干渉によって伴う痛みを最小限に
抑える工夫をしつつ、所属欲求から得ることのできるぬくもりを
最大限に求めているのです。
■企業や組織に所属する場合でも同じことが言えます。
確かに企業とは、楽しいだけのサークルや学習を目的とした学校とは
異なり、営利を追求し社会に貢献する団体であるため、従業員一人
ひとりがいくら稼ぎ出すか、といった生産性を追い求めなければ
なりません。
まずは今日のノルマを達成することが大切だ。
従業員の成長より、今日の売上げが大切だ。
このように考えておられる経営者も少なくはないでしょう。
あるいは、給料を払っているのだから、たとえ厳しい職場環境で
あっても働けるだけありがたいと思え、と考えておられる経営者も
いらっしゃるかも知れません。
しかし、この考え方に間違いはないものの、これでは今の時代を
生きる人材は企業について行くことができなくなってしまうのです。
■これまで、特に高度成長期までの組織は軍隊的な縦社会で、上司から
の指示や命令に絶対的な価値をおき、スタッフを一纏めにして組織を
牽引してきました。
社会そのものがいわゆる体育会系だったのです。
その理由は社会全体が豊かさを目指していて、人々も同じ方向に
向かっていため、この考え方でなんら問題はなかったのです。
ところが社会や個人はこれまでにない豊かさを手に入れ、さまざま
な価値観が生まれだし、組織からはじき出されることも、むしろ
個性の象徴であるかのように捉えられるようになったのです。
豊かさを手に入れた企業では個性を重視するようになり、個性の
薄い人物は就職競争でも負け組に陥るようになってきました。
さらに個性を持たない人物は、次々とフェードアウトしていった
のです。
このように個性の強化は加速度をつけて広がりました。
つまり豊かさを手に入れた現代人は、金銭だけではなく生き甲斐や
自己実現を求めるようになったのです。
■こうなると、これまでのような画一的な人材育成で個々人を一纏めに
するなど、とうてい無理であることは理解できるでしょう。
それにも関わらず、これまでのような体育会系の育成手法を続けて
いると、スタッフを育てるどころか、むしろこれまで以上にフェード
アウト者を増やす結果となってしまうのです。
■そこで人材を優秀な人財へと育成していくためには、このような
時代の流れを理解したうえで、エンパワーメントのスキルを上司が
身につけなければならないのです。
企業や組織でエンパワーメントのスキルを活用して従業員に接すると、
従業員は仲間を尊重し勇気づけ合い、お互いに切磋琢磨し共に学び
成長していくようになります。
さらに、この段階にまで進化すると、他人との干渉によって伴う
痛みは最小限に抑えることも可能となり、楽しく仕事に没頭する
ことができる仲間や環境が構築され、充分に所属欲求は満たされる
ようになるのです。
■エンパワーメントのスキルを活用するには、経営者と従業員、あるいは
上司と従業員との間でラポールが築かれなければなりません。
しかし確固たるラポールが築かれたなら、多少厳しく接しても何の問題も
発生することなく、従業員は生産性の向上に努めるのです。
(厳しく接する前提として、身勝手ではなく愛をもって接すること)
私の経験では、この状況が構築されると、休日出勤や残業などで不平
不満を口にする従業員はいなくなりました。
私のこれまでの経験を活かすとともに、個々の人財心理をカウンセリングする
ことでカタルシス効果を発揮させ、最強の組織を作るお手伝いをいたします。